薄毛の原因とは?対処法や手軽にできる予防法を詳しく解説

『もしかして、自分も薄毛…?』と感じる瞬間はありませんか?朝起きたら枕に抜け毛が増えた、お風呂の排水溝に詰まる髪の毛が気になる…など小さな変化が、大きな不安に変わってしまいます。薄毛は、外見だけでなく、自信や心の状態にも影響を与える深刻な悩みです。

薄毛は決して克服できない悩みではありません。この記事では、薄毛の原因を始め、今日から実践できる予防法を解説します。ぜひ参考にしてください。

薄毛とは

薄毛とは、頭髪の量が減少して地肌が透けて見えてしまう状態のことです。

薄毛には2つのケースがあります。髪の毛の本数は変わらずに毛が細くなるケースと、抜け落ちて本数自体が減少するケースです。

特に男性の場合は後述する男性型脱毛症(AGA)によって、前頭部や頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなる症例がよく見られます。一方で女性の場合は、加齢やホルモンバランスの変化によって頭髪全体が薄くなるケースが多く、男性とは異なるパターンで進行することが一般的です。

男女ともに薄毛は珍しい悩みではなく、適切な原因の把握と対策が欠かせません。

薄毛のおもな原因

薄毛の原因は多岐にわたりますが、主に男性ホルモンの影響・頭皮の血行不良・遺伝的要因・ストレスや生活習慣の乱れなどが挙げられます。これらの要因が複合的に作用することで、薄毛が進行する場合も少なくありません。
それぞれの原因について詳しく解説します。

男性ホルモン

薄毛の主な原因のひとつに、男性ホルモンの影響が挙げられます。

男性ホルモンの一種である「テストステロン」と「5αリダクターゼ」という酵素が結合すると、ジヒドロテストステロン(DHT)という成分が生成されます。このDHTは、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FPHL)の原因のひとつです。

髪の毛を生み出す小器官である毛包は、成長期・退行期・休止期というサイクル(毛周期)を繰り返しています。しかし、DHTの働きが強くなると毛周期における成長期が短縮され、休止期が相対的に長くなることで薄毛が進行すると考えられています。

頭皮の血行不良

頭皮の血行不良も薄毛の原因のひとつです。
頭皮には、血管がたくさん通っており、血液を通じて髪や頭皮に栄養を運んでいます。

ストレスや生活習慣の乱れなどによって、血管が収縮し血流が悪くなると、髪の毛や頭皮へ栄養が届きにくくなり、髪の毛が成長しにくくなります。

加えて、血流は栄養を運ぶだけでなく老廃物の排出も行っています。この機能が低下して老廃物が滞留することも、髪の成長を阻害する要因です。

遺伝的要因

薄毛の発症には、遺伝的な要素も深く関わっているとされます。

前述したDHTの受容や5αリダクターゼの活性度などは、遺伝による体質に影響される要素です。遺伝によって男性ホルモンの影響を受けやすい体質になっていると、薄毛にもなりやすいといえます。

ただし遺伝的要因があっても必ず薄毛になるわけではなく、生活習慣の改善や適切なケアで進行を遅らせることは可能です。

ストレスや生活習慣

日常のストレスや生活習慣も、薄毛に影響を与える要素です。

過度なストレスや喫煙は、血管を収縮させてしまうことから、頭皮の血行不良による薄毛につながります。

加えて、髪の毛の主成分となるタンパク質への悪影響を避けるためにも生活習慣は重要です。

例えば、睡眠が不足すると、タンパク質の合成に必要な成長ホルモンが十分に分泌されなくなります。 また、過度な飲酒を行うと、タンパク質を形成するアミノ酸をアルコールの分解に消費してしまうとされます。

髪の毛の成長のためには、規則正しい生活習慣を心がけることが欠かせません。

自己免疫性の疾患

自己免疫性の疾患は、薄毛の原因のひとつです。

本来、免疫システムは体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を攻撃する働きを持っています。しかし何らかのきっかけで免疫システムが誤作動を起こすと、成長期にある自身の毛包を「排除すべき異物」と認識して攻撃し、脱毛につながってしまいます。

自己免疫性の疾患による薄毛としては、後述する円形脱毛症が典型的な例です。

頭皮の炎症・ダメージ

頭皮の炎症やダメージが、発毛を阻害して薄毛につながる場合があります。

頭皮は外部刺激に対してデリケートな部位です。さまざまな要因によって炎症が生じやすい状態になります。

頭皮の炎症・ダメージにつながる外部刺激の例

  • 不適切な洗髪

  • 紫外線

  • ヘアカラー剤による刺激

  • ヘアゴムによる締め付け など

炎症が慢性化すると毛包周辺の組織がダメージを受け、正常な毛周期が乱れて薄毛が進行するリスクが高まります。

脱毛症

前述した原因が複合的に絡み合うことで、さまざまな種類の脱毛症が引き起こされます。薄毛の効果的な対策を講じるためには、自分がどのタイプの脱毛症に該当するかを把握することが重要です。

男性型脱毛症(AGA)

男性型脱毛症(AGA)は、成人男性に見られる進行性の脱毛症です。

発症頻度は年齢とともに上昇し、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降では40%以上の男性に見られるとされています。

AGAの特徴は軟毛化現象です。毛の本数は変わらないものの、太くて長い健康な髪の毛が再生されず、細くて短い毛に置き換わっていきます。この現象は、男性ホルモンが主な原因となって引き起こされます。

一般的に男性の薄毛はこのAGAを指すことが多く、額の生え際や頭頂部から薄毛が進行するのが典型的なパターンです。

※参考:日本皮膚科学会『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

女性型脱毛症(FPHL)

女性型脱毛症(FPHL)は、主に更年期以降の女性に多く見られる薄毛の症状です。頭髪が全体的に細くなり、ボリュームが減少していく特徴を持ちます。

男性型脱毛症(AGA)と共通する部分はあるものの、男性ホルモンの影響だけで説明できない部分もあり、具体的な発症メカニズムは完全にはっきりしていません。

加齢に伴う女性ホルモンの減少や、頭皮の血行不良といった複数の要素が絡み合って進行すると考えられています。

関連記事:ミノキシジルは女性でも使える?女性の薄毛の特徴や効果・注意点を詳しく解説

円形脱毛症

円形脱毛症は、コインのような円形状に毛が抜け落ちる脱毛症です。
単発で起こる場合もあれば、複数箇所に発症して頭全体の毛が抜けてしまうケース、さらには全身の体毛まで抜け落ちる重篤なケースもあります。

この脱毛症は、前述した自己免疫性の疾患とされています。AGAとは異なり年代や性別に関係なく誰にでも発症する可能性があり、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層での症例が見られます。

※参考:日本皮膚科学会『円形脱毛症診療ガイドライン 2024

脂漏性脱毛症

脂漏性脱毛症は、皮脂の分泌が過剰な場所に炎症が起きることで生じる脱毛症です。赤ちゃんから大人まであらゆる年代で発症する可能性があります。

頭皮に過剰な皮脂が蓄積されると、皮脂を餌とする皮膚の常在菌が増殖して炎症が起こりやすくなります。これによって毛根の正常な活動が阻害されることが、脱毛の原因です。

脂漏性脱毛症につながる皮脂の過剰分泌は、ホルモンバランスの乱れやストレス、生活習慣の乱れ、過剰な洗髪などによって生じます。

粃糠性脱毛症

粃糠性脱毛症は、乾燥した細かいフケが大量に発生し、毛穴を塞ぐことで常在菌が繁殖して炎症を招く脱毛症です。

この頭皮の荒れによって髪の正常な成長が阻害され、健康な毛周期が維持できなくなることで、広範囲の抜け毛が起こりやすくなります。

粃糠性脱毛症の発症リスクを抑えるには、頭皮の保湿ケアが欠かせません。乾燥しやすい季節には、特に頭皮の状態に気を配りましょう。

牽引性脱毛症

牽引性脱毛症は、髪を強く結んだり引っ張ったりするヘアスタイルを繰り返すことで生じる脱毛症です。

ポニーテールやお団子ヘアなど、髪の毛を強く束ねるスタイルを長期にわたって続けると、髪の生え際や分け目に物理的な負荷が継続的にかかり続けます。この慢性的な牽引力が毛包を傷つけることで、毛根の弱体化や抜け毛を引き起こします。

ヘアスタイルによって生じる脱毛のため、早い段階でヘアスタイルを見直すことで進行の抑制が可能です。

薄毛の症状による原因の見極め方

薄毛の原因や脱毛症の種類は多岐にわたるため、症状の現れ方から原因をある程度絞り込むことが重要です。

以下の表に、局所的な抜け方や皮膚の状態に応じた分類と、その根底にある主な要因をまとめました。

症状別に懸念される脱毛症とその原因

症状懸念される脱毛症考えられる原因
男性の左右の生え際や頭頂部の薄毛男性型脱毛症
  • 男性ホルモン
  • 遺伝要因
  • 血行不良
女性の全体的なボリュームダウン女性型脱毛症
円形や楕円形の脱毛円形脱毛症自己免疫性の疾患
べたついたフケを伴う薄毛脂漏性脱毛症頭皮の炎症
乾燥したフケを伴う薄毛粃糠性脱毛症頭皮の炎症
結んでいる髪の生え際の薄毛牽引性脱毛症髪型による頭皮のダメージ

薄毛の対処法

薄毛の進行を食い止めるためには、医学的根拠に基づいた適切な対処法の選択が重要です。
主な治療方法としては外用薬や内服薬、植毛、光線治療などがあり、症状の程度や個人の状況に応じて最適な方法を検討する必要があります。
それぞれの対処法について詳しく解説します。

外用薬

外用薬を頭皮に直接塗布することで、薄毛の進行を遅らせる方法です。代表的な成分としてミノキシジルが広く知られており、一定の効果が期待されています。

ミノキシジルを頭皮に塗布すると血管拡張作用により血流が促進され、毛髪の成長をサポートします。外用薬は市販薬としても販売されているため、医療機関を受診しなくても手軽に利用できる点がメリットです。

日本皮膚科学会が作成した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」でも、ミノキシジルは男性型脱毛症と女性型脱毛症の双方において「行うよう強く勧める」に分類されています。

※参考:日本皮膚科学会『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

内服薬

デュタステリドやフィナステリドなどの内服薬は、テストステロンをDHTに変換する酵素の働きを抑えられることから、男性型脱毛症への効果が期待されています。

一方で、妊婦に投与するとDHTの低下によって男子胎児に影響をおよぼす可能性があるため、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性への投与は禁忌です。また、男性使用者も、女性や小児が薬剤に触れないよう十分な注意が必要です。

なお、海外の医薬品や個人輸入による並行輸入品など、国内で正式に認可されていない薬剤は、安全性や品質が保証されておらず、重篤な健康被害につながるおそれがあるため、使用しないでください。

例えば、ミノキシジルの内服薬も、厚生労働省の認可を受けていない薬品のひとつです。日本皮膚科学会が発表した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、ミノキシジル内服薬の推奨度はD(行うべきではない)と評価されています。

※参考:日本皮膚科学会『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

植毛

薬剤による治療で十分な効果が見られない場合、外科的な治療として植毛手術があります。後頭部など髪の毛が残っている部分から、頭頂部や前額部などの薄毛部分に毛包ごと移植する方法です。

一定の効果は見られますが、植毛手術は外科手術であるため、リスクが伴います。十分な経験と実績を持つ執刀医による施術を受けることが重要です。

なお、日本皮膚科学会のガイドラインでは男性型脱毛症における自毛植毛について「行うように勧める」としています。一方で、女性型脱毛症においては「行ってもよい」となっています。

※参考:日本皮膚科学会『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

自分でできる薄毛の予防法

薄毛の予防には、日々の生活習慣やヘアケアの見直しが欠かせません。
以下に挙げる対策を日頃から取り入れることで、頭皮環境を整え健康的な髪の成長を促せるでしょう。

頭皮ケアを見直す

頭皮の状態が悪化すると、薄毛の進行を招くことがあります。日々のシャンプーで頭皮の汚れや余分な皮脂を適切に洗い流し、清潔に保つことが大切です。

一方で、シャンプーの回数が多すぎたり洗浄力の強いシャンプーを使ったりすると、必要以上に皮脂を洗い落としてしまい、かえって頭皮を傷つける可能性もあります。また、シャンプーのすすぎ残しや髪の生乾きにも注意しましょう。

ヘアケアとして、頭皮マッサージを取り入れることもおすすめです。

生活習慣を改善する

健康な髪を育てるためには、栄養バランスの取れた食事が重要です。髪の毛の主成分であるタンパク質をはじめ、亜鉛やビタミンBなどのミネラル・ビタミン類を意識して摂取しましょう。

また、前述のとおり睡眠不足も薄毛の原因となります。良質な睡眠を確保するために、寝る直前のパソコンやスマートフォンの操作は控え、読書などでリラックスする時間を作ることがおすすめです。

適度な運動をする

適度な運動を日常生活に取り入れることで、ストレス解消と血流促進の両方の効果が期待できます。

運動によって血流が改善されることで、毛根に必要な栄養素をより効率的に届けられます。激しい運動である必要はなく、無理のない範囲で継続することが重要です。特に、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が効果的とされています。

運動以外にも、趣味に打ち込む時間を作る・親しい人との会話を楽しむ・好きな映画や音楽を鑑賞する・森林浴をする、などの方法もストレスの軽減に有効です。

自分に合ったリラックス方法を見つけて実践し、心身ともに健康な状態を維持することが薄毛予防につながります。

ミノキシジル配合の発毛剤を使用する

ミノキシジルは市販薬として販売されているため、ミノキシジル配合の発毛剤を使用することで自宅で手軽に薄毛対策に取り組めます。

使用方法は、シャンプー後の清潔な頭皮に直接塗布するだけです。継続的な使用により発毛や育毛の効果が期待されます。一方で、効果を実感するまでには一定の期間が必要とされており、用法・用量を守り、即効性を求めず根気よく続けることが重要です。

また、使い始めの時期に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が生じるケースもあります。これは古い毛髪が新しい元気な髪に押し出されて抜ける正常な反応で、ミノキシジルの効果が現れているサインともいえます。慌てずに使用を継続することが大切です。

使用前には必ず添付文書を確認し、適切な使用方法を守って使用しましょう。

まとめ

薄毛には、遺伝やホルモンの影響だけでなく、日々の生活習慣も大きく影響しています。

頭皮ケアや生活習慣、運動習慣などを見直し、早めに対策を行うことで薄毛の予防が期待できます。また、処方だけでなく市販でも購入できるミノキシジル配合の発毛剤であれば、ご自身のペースで薄毛対策に取り組むことができます。